3年前の10月の寒い土曜日。
その日は前触れもなくやってきました。
ヨメさんの姉がうちに来て、リビングで談笑していた時です。
暗かったので7時くらいだったんでしょうか。
ピンポンと呼び鈴が鳴りました。
応対すると、娘(当時中学生)の同じ分譲地内に住む友達でした。
娘が外に出て対応していましたが、しばらくすると部屋に入ってきて
「友達が捨て猫を拾ったんやけど、自分とこで飼われへん、ていうてる」
と言いました。
「自分とこで飼われへん猫を拾うて来たらあかんやろう。そらも1回捨ててくるしかないな」
それがわたしの最初の回答でした。
「でも目を怪我してるみたいでめっちゃ弱ってんねん」
娘も食い下がります。
「まだ赤ちゃんみたいやねん」
”赤ちゃんのネコ。目を怪我してる。病気の可能性もある”
これだけで、わたしの頭は「うわ!めんどっくさ!」でいっぱいでした。
”なんでそれをわざわざうちに持って来るかな”
と少々腹立たしい気分になったのも事実です。
「わかった。ちょっと見に行く」
そう言って立ち上がりましたが、娘の友達に「捨ててあったところに戻してきなさい」
と言おうという気持ちと、「誰か飼う気のある家の子に押し付けよう」という気持ちが
半々だったと思います。
玄関に出てみると数人の女の子たちが輪になり、その中心には小さな小さな仔猫がいました。
弱っていて、泣き声も聞き逃すくらいか細い声でした。
そしてその左眼は異様に腫れあがり、右目の1.5倍くらいの大きさで、黒目は見えずピンク色
になって
膿のようなものも出ているようでした。

 


正直、左目の状態にはヒキました。
しかし、抱き上げてみた時の小ささ、そのか弱さ、両の掌に乗るくらいの大きさなのです。
それが、見知らぬ人間に次々と触られても逃げることもできないほど弱っています。
”この子、元に戻してこい、と言うたら、誰か拾い手いるやろうか。この目を見ただけで
ほとんどの人は敬遠して、誰にも拾われんまま死んでしまうんとちゃうやろうか。この弱り方
ではあと何日も持ちそうにないな・・・”
そう考えると、とてもじゃないですが「元に戻してきなさい」とは言う気持ちにはなれません
でした。
「仕方がない。とりあえずウチで預かろう。」
そのばでそう言い切ると、子猫をうちに連れて入りました。